ぐーたら親父の言いたい放題

日々の様々なニュースを取り上げて、独自の視点でコメントします。これからの社会の変化を予測し、どのように対処すべきか提案できればと考えています。

年頭にあたって

 年が改まってはや7日が過ぎ去り、今日は七草がゆの日である。遅まきながらですが、新年あけましておめでとうございます。本年が皆さまがたにとって良き年になりますよう、心から願っております。それにしても、マスク着用が日常化してはや2年が経ちました。コロナ禍により、2020年に引き続き2021年も慌ただしく過ぎ去ったというところでしょうか。本年はそういう意味において、まずはマスクが不要になる時期が一刻も早くやってくることを願うばかりです。

 

しかるに、コロナ禍はテレワークがすすみ、労働環境を大きく変える要因となりました。また、遅まきながではあるが、日本でも消費行動の中でキャッシュレスが日常化しました。その意味において、庶民の思惑を越えて社会が大きな変革期を迎えたと考えられます。そして、なし崩し的にやってきた2022年。日常的に変革を仕掛けている人や、来るべき時代を予測して着実に準備を進めてきた人ならば、違和感をいだくこともなく新たな時代を受け入れることができます。しかし、そうでない者(多分ほとんどの人々がそうであろう)にとっては、周囲の変化を十分理解できぬままに受け入れざるを得ず、起こりうる状況に振り回され続けていくだけかもしれません。

 

利益だけを考えた効率追求よりは、他者に配慮できる心遣い。これからの時代、求められるのはこの謙虚な姿勢ではないでしょうか。自己の利益を追い求め続ければ、効率を上げる工夫だけが限界を超えて推し進められるだけである。残念ながら、その行き着いた先が原材料のコストカットを極限まで行った挙句、人件費を流動費化することによって利益を生み出す流れを作ってしまった。家計収入が増えなくなった国民は、その結果可処分所得の減少をカバーするために、消費行動を控えざるを得なくなったがゆえに総需要が縮小する状況を必然的に日本国内に作り出してしまった。つまり、それぞれの企業が最大限の利益追求を進めた結果、労働分配率が低下し、それが中流層を減少させて、景気の拡大を妨げていると考えられる。賃金が上がらないがゆえに、日本国民はますます貧困化して、日本経済を縮小させる悪循環に陥っている。

 

 中流階級の貧困化が、日本経済の発展を阻害する真の原因ではなかろうか。日本経済が長い間デフレ基調になってしまっているのは、セーフティネットがぜい弱であるがゆえに、将来の生活不安から少しでも老後資金を残そうという庶民の心理が働くからである。収入が増えないから、ひたすら家計は緊縮を余儀なくされる。宿命として輸入に頼らざるを得ない日本にとって、コロナ禍の中で原材料が値上がりしているだけもリスクが多いのに、アメリカ経済のコロナ禍からの立ち直りによる為替の円安傾向により、諸物価高騰の圧力が次第に強まっている。日本銀行にすれば、ようやく待ちかねたインフレ機運の到来だが、可処分所得が減少している中では、貧困化に拍車をかけて不安をあおるだけである。

 

岸田首相は政府主導で賃上げを推し進めようとしているが、その要請に応じられる大企業はともかく中小企業にとってはハードルが高い。どちらかといえば社会保障制度を改革して、セーフティネットをより骨太な確固たるものにして国民が老後を安心して暮らせる社会を目指すほうがより実現性が高い。医療や教育の低廉化を目指し、次代の若者が夢を持って社会に巣立つことができるシステムの確立を目指すほうが望ましい。そういう意味では、欧米でも議論され始めているベーシック・インカムの導入を考えるのも良いのかもしれない。

 

そのためには、政治への信頼を取り戻さなければならない。今までのように、単なる選挙対策のための、その場しのぎの耳に心地よい公約ではなく、各政党が将来の国民生活の在り方を提案し、それらを議論する場として国会が機能することが大切である。政治家も官僚も、国民の生活を第一義として考えざるを得ない状況を作り出すことが必要である。選挙権を持つ国民一人ひとりが、そのことを真摯に考慮し、具現化しなければまらない。

 

グローバル化が進めば進むほど、排外主義が頭をもたげてくる。欧米におけるポピュリズムの台頭がそのことを明確に物語っている。リベラルが力をつけてくれば、一方で保守化も進む。多様性が認められれば認められるほど、自己の価値観の脆弱性を思い知らされるがゆえに、自己の価値観にかたくなに固執し始める。また、技術革新が進めば、より高度な教育環境が誕生し、そこで知識化が起きる。半面、それらの動きについていくことができず、理解することを拒否する反知性主義ものさばることになる。これは宿命なのかもしれない。理解を超える事象にでくわすと、人間は思考停止を起こして自己防衛に走るのである。