ぐーたら親父の言いたい放題

日々の様々なニュースを取り上げて、独自の視点でコメントします。これからの社会の変化を予測し、どのように対処すべきか提案できればと考えています。

自民党のしたたかさに感服

 17日に自民党総裁選が告示され岸田文雄河野太郎高市早苗野田聖子の4氏が候補者として名乗りを上げて、連日マスコミの話題になっている。逆に野党は時折ニュースに取り上げられるものの、残念ながら自民党総裁選ほどには話題になっていない。直前に野田聖子氏が推薦者20人を集めて立候補し男女2名ずつの候補者擁立と話題性を提供したという意味で、自民党菅義偉首相に対する内閣支持率の低下に歯止めをかけて、さらには10月にある衆議院選挙に向けて党の顔を際変えて大きなアピールができる機会を得た。2012年の安倍政権誕生以来菅政権に至るまで、国民が求める説明責任を回避し続けて、すっかり人気を落としてきたにもかかわらず、不死鳥のように政党支持率を回復したようである。

 

 しかし、その一方で政治に対する国民の不信感はまったくといってよいほどぬぐい切れていない。投票率5割、その中で得票率5割強、つまり支持率25%あまりで小選挙区の大半で議席を獲得していけば、それだけで衆議院過半数議席を確保できる。言い換えれば現在政党の中で1強といわれる自民党が、現在のように国会運営や行政権を意のままに操り、独善的な政治が行えている支持基盤がいかに脆弱なものかは認識できる。にもかかわらず、自民党が思うが儘の政策運営が行われているのは、政治に無関心な国民が大勢いるからであるとも言える。

 

 たとえば、敬老の日に合わせて発表のあった高齢者の人口は、昨年比で22万人増の3640万であった。これは総人口に占める割合で29.1%である。(ちなみに世界では断トツの1位で、2位イタリアは23.6%、3位ポルトガルは23.1%である)。問題なのは、高齢者の就業者数が17年連続で増えており、今年はとうとう906万人となり、高齢者の就業率は25.1%と4人に1人を超えたことである。これは元気な高齢者が増えた証拠かもしれないが、それ以上に将来的な不安が高齢者になっても尽きないがゆえに賃金労働で少しでも稼がなければならない日本の家計の貧困の姿を赤裸々に物語っている。また、少子高齢化の影響により労働力不足になっている日本の産業界の姿を映し出しているともいえる。つまり、高齢労働者が増加している現象は、決して手放しで喜べる傾向ではないのである。

 

 ハッピーリタイアしようにも日本の高齢者には許されない。そこに社会保障の財源がつぎ込まれてことを理由に、教育費の高騰などによる若年層の貧困化も如実になり始めている点も問題である。2017年の初等教育から高等教育までの公的支出がGDPに占める割合は、OECD加盟国38か国中なんと37位の2.86%にすぎない。経済大国日本の凋落はここまできているのである。人材育成を怠り、日本の家計の充実をしてこなかった日本が、世界に比して経済的競争力を取り戻すためにはどうすれば良いのか。その辺が自民党総裁選でもっと議論されてしかるべきである。さらには、衆議院選挙ではおおきな争点になる問題ではなかろうか。その辺を真剣に語る候補者が出てくることを祈るばかりである。