ぐーたら親父の言いたい放題

日々の様々なニュースを取り上げて、独自の視点でコメントします。これからの社会の変化を予測し、どのように対処すべきか提案できればと考えています。

岸田文雄首相、自縄自縛の状態

 自民党衆議院の選挙公約が発表された。それによると、安全保障政策では、高市早苗氏が主張していた軍備増強を図る中国や北朝鮮を念頭に、力による対抗策に重きを置いた安全保障政策が打ち出された。しかもその内容を精査すると、海上保安庁の体制拡充と自衛隊の連携強化を明記し、「相手領域内」での弾道ミサイルなどを阻止する能力の保有を含めた抑止力向上(どれだけの予算が必要なのだろうか?)の新たな取り組みを進めるとした。さらに2022年度から防衛力を大幅に強化するとし、新たな国家安全保障戦略や防衛大綱を策定するとしている。これにより、GDPの1%以内と抑制されていた防衛費が2%以上になることも念頭に置くという。

 

 コロナ禍というバンデミックで、無尽蔵の金融緩和を行い、財政再建を目標に財政規律を保とうとする努力が、ここ2年は経済的困窮からの脱却を果たすためになおざりにされてきた。これからしばらくコロナ禍で傷ついた人々に対する生活給付金をはじめとする日本経済の立て直しにお金はいくらあっても足りない。また、水道管の破裂で問題になった公共インフラの改修にも多大な費用が必要だし、社会保障費の増加にも対処する必要がある。

 

 政治は、政策実行の優先順位を決定することが最大の仕事である。その軸足を防衛と安全保障におくのはいかがなものであろうか。少なくともその財源をどこからひねり出してくるかを説明してから予算を要求してもらいたいものである。政権選択選挙というならば、それぞれの政党が政策の重点項目を提示して、その理由を説明してもらいたいものである。それが選挙運動というものではなかろうか。選挙で公約したことを実現する。「政治とカネ」の問題が出てくれば、説明責任を果たして国民の納得を得てほしいものである。

 

 投票率が下がる、それは政治が信頼を失くしている兆候である。投票率50%のうち得票率が過半数のいわゆる4分の1の支持率で政権が支持を得たなどという理解は傲慢以外の何物でもない。謙虚な政治を心掛けて、せめて国民の5割以上の支持を獲得するような努力を続けてもらいたいものである。

 

 岸田内閣は、経済政策では「新しい資本主義」をかかげて、「成長と分配の好循環」による分厚い中間層の再構築をうたっているが、その具体策は示されず、当面は赤字国債の発行で財源を確保するとし、財政規律を確保する文言は盛り込まれなかった。だとすれば、なおさら増加が必死の防衛費をどこからねん出するのか。コロナ禍の影響を極力下げるべき状況の中で、多大なる予算案の財源をどうするのか。税制改正にも言及しなかった自民党はどうするのだろうか。まさか全議員が報酬を全額返納する考えでもあるのだろうか。たとえ、そのような行為がなされても、焼け石に水でしかないのだが、少なくとも国会議員の覚悟のほどが見れるかもしれない。

 

 1000兆を超える超える財政赤字、税制の抜本改革、そして政策の優先順位の策定、生産者重視なのか消費者重視なのか経済政策の見直し、公平公正な政治の在り方、国民の政治に対する信頼を取り戻すために、政治家だけでなく国民も真摯に政治について考えてみる時間を作ることが大切である。