ぐーたら親父の言いたい放題

日々の様々なニュースを取り上げて、独自の視点でコメントします。これからの社会の変化を予測し、どのように対処すべきか提案できればと考えています。

民主主義が危機にある!

 自民党新総裁に選出された岸田文雄氏が、何度も語った言葉である。なぜ、国民の声が政治家に届かなくなったのか。その答えは明確である。政治家が、説明責任を回避し続けているからである。思い当たるだけでも、森友学園加計学園の安倍元総理大臣の疑惑、さらにはそれに絡む財務省の公文書書き換え疑惑、それらの疑惑に対して明確な納得いく説明がいまだになされていない。そしてまた「桜を見る会」の問題でも、結局安倍元首相は、何の説明もすることなく病気を理由に首相を辞めてしまった。そして参議院選挙時に広島県選出の河合克之・安理夫妻に渡された1億5千万円の選挙資金が買収に使用されたかどうかという問題にも残念ながら明確な説明はなかった。

 

 国会審議においても、数の論理による議論軽視が常態化しており、政治家が本来活動すべき舞台で頑張っている姿が伝わってこないのが実情である。政治家の名前が耳に入ってくるのが、選挙の時だけに限定される状況も問題なのかもしれない。これは国政レベルだけで起きている現象ではない、地方選挙においては、候補者が選挙公約について語るよりも、ひたすら自分の名前を連呼している姿が目立ってしまう。

 

 この政治家に任せれば、この政党に投票すれば生活が良くなる。そういう信頼できる政治家が出現することが、政治に対する親近感を国民が持つようになるきっかけとなるはずなのだが・・・。そのためには、政治家自身が地道に国民のためになる政策作りに努力している姿を見せつけていく以外に方法はないのではなかろうか。その努力が実ったとき、政治家は国民との距離を縮めることができるのであろう。説明責任を果たすことは、その第一歩である。

 

 岸田文雄新総裁は、新自由主義的な政策から、経済成長の果実を中間層により手厚く分配することを主張している。子育て世帯の住居費や教育費の支援を手厚くしたり、看護師や保育士らの賃金を引き上げたりすることを明言している。今後ますます高齢化が進む中で、社会保障費の増大は避けられない。しかしその財源となる消費税はあげたくない。それは政治家として敵を作らない方針であることは理解できるが、財源を確保する税制をしっかり確立することも政治家として大切である。富裕層の金融資産税や企業の法人税に対するメスの入れなければならない。また教育に関しては、高等教育の学費が家計に大きな負担をかけているだけでなく、貸与の奨学金を借りて返済に窮する若者が増えていることも国家的な損失を生んでいることに目を向けるべきだ。

 

 大学や専門学校が高額な学費を徴収しなくても済むような仕組みを作ってしまうほうが、よほど財源は少なく済むのではなかろうか。医療費の問題、住居費の問題、教育費の問題、そして雇用の問題、高齢者の増加の問題、それらさまざまな問題に対処するために年々社会保障費が増大し続けているわけだが、場当たり的な個別的対応を続けている限り、問題は一つも解決しない。そろそろ抜本的な改革を講じるときである。

 

 経済成長を考えていく基本は、これまで生産者側が重視されていたが、180度視野を変えて消費者側がどうなれば経済は活性化するのか、成長軌道に乗るのか考えていく必要がある。消費をうながす原資は、どうすれば消費者は手にできるのか。労働の報酬として賃金を分配するのなら、それだけの雇用を生み出す必要がある。能力に応じて賃金体系が変わるのなら、その基準を明確にすることが求められる。その一方で政策を実行するための財源確保をしなければならない。政治はそれらの政策を実行するための優先順位を決めていく。国民が何を望んでいるのか、それを正確に吸い上げられる政治家が政治を遂行していく形になることが望ましい。