ぐーたら親父の言いたい放題

日々の様々なニュースを取り上げて、独自の視点でコメントします。これからの社会の変化を予測し、どのように対処すべきか提案できればと考えています。

国民の声を聴く術は?

 政治家と国民の世論の声の乖離を嘆く前に、どうして政治が信頼を失くしたのか、その要因を真剣に考えてみても良いのではなかろうか。岸田文雄自民党新総裁は、安倍晋三元首相の影響下にある政権であると、その全容を見せる前に揶揄される有様である。あっせん利得罪を疑われている甘利明氏を幹事長という党の要職に据え、2,3位連合を示唆していた高市早苗氏を政調会長に、はたまた総務会長には細田派の福田達夫氏を据える。さらには内閣の要となる官房長官には、やはり細田派の松野博一氏を起用する。このように安倍元首相の息のかかった人々を次々要職につける人事は、まさに安倍亜流内閣と名指しされても仕方がないような顔ぶれである。岸田文雄氏が首相として実現したい政策がこの顔ぶれで果たして実行できるのか。自身が納得しない政策を実行することを余儀なくされる内閣総理大臣が、果たして政権担当者の地位に達した者として満足しうるのであろうか

 しかも「政治と金」の問題に関して、国民に明確に説明できない人々を次々に登用せざるを得ないさまは、結局政治への国民の信頼を失くす所業でしかないではないか。国民との距離が遠ざかっている事態を民主主義の危機と嘆いていた人物が、さまざまな疑惑を抱えていながら、国民に対する説明責任の義務を果たそうとしない連中を野放しにしているのである。これでは、政治家は国民の信頼を取り戻すことはかなわない。

 国民の世論を吸い上げていくためには、国民の信頼を取り戻すことが肝要ではないか。そのためには一つ一つの疑問に、丁寧に答えていくことであり、公の場、つまり国会で正々堂々と様々な課題について徹底して議論すべきである。国際関係の激変、グローバル経済の閉塞状況の打破、そして高齢化社会、経済の低迷などに対し、国家百年の計を立てるために、政策の優先順位などについて討論が必要である。そのためには、低迷する日本の所得についても原因を突き詰めなければならない。

 

 残念ながら9月の自民党総裁選の騒ぎは、日本の針路を明るい方向に導くものではなかったようである。国民は、政治に無関心になるのではなく、自分たちの生活が豊かになるためにはどのような選択をしていかなければならないか、真剣に模索していく時期が来ているようである。来るべき衆議院選挙は、そこを考える良い機会になるのではなかろうか。もはや他人任せにしていて、かじ取りが上手くいく時代ではないだろう。それよりも先行きに垂れ込める暗雲を振り払うのは自分自身でしかないことをそろそろ一人ひとりが自覚すべき時期に来ているのである。