ぐーたら親父の言いたい放題

日々の様々なニュースを取り上げて、独自の視点でコメントします。これからの社会の変化を予測し、どのように対処すべきか提案できればと考えています。

西村大臣の発言に、日本の民主主義の衰退を見る

 

西村康稔経済再生担当大臣が、酒類の卸売業者に時短・休業要請あるいは酒類販売提供停止に応じない飲食店に対する酒類販売を自粛するようにという文書を配布したという。また、金融機関に対しても、融資を行っている飲食店に対し同様の働きかけをするように依頼したという。このことで西村大臣は、様々な批判を浴びている。しかし一連の流れを見ていると、これは菅義偉首相を頂点とする政府関係者の意思統一が行われた結果であることは歴然としている。日本の民主主義が存亡の危機に立たされているのである。

 

 安倍晋三内閣以来宿願となっていた東京オリンピックパラリンピック開催に向けて、なりふり構わず突き進んできた自民党菅内閣だが、切り札であったワクチン接種によるコロナ感染化克服も予定していたワクチンを確保できず頓挫した。挙句の果てが感染者数が増加に転じたことにより、五輪会場の無観客を余儀なくされてしまうという八方ふさがりの状況に陥り、なんとかこれ以上の事態悪化を防ごうと必死なのであろう。しかるに巷では度重なる時短・休業要請に対し、保証もあまり期待できないうえに自粛疲れもあり、これ以上我慢を強いられたくない人々から批判の声が高まっている。

 

 それ以上に問題なのは、基本的人権を定めた日本国憲法を頂点とする法治主義を逸脱する形で、次々と私権を制限するような施策が発表されるようになった。政府関係者は国会においてすらっ説明責任を果たさないまま、至極当然のように政権の中枢に居座り、法治国家らしからぬ政策を平然と実行しようとする政府の独善的な在り方ではないだろうか。しかも今回の批判の声の高まりに、憲法を改悪しなければという声まで上がっているという。政治に関心を失った国民が容認した結果、この傲慢な政権を作り出したのである。官僚を人事権で縛り付け、国会議員を選挙資金で束縛して、投票率50%前後の選挙で何とか過半数の得票率を確保して多数派として君臨し続けているうちに、ますます国会運営や政策に関しても、反対意見を抹殺するような言動が与党には目立つようになった。民主主義は多数派が横暴を極めることを認めているわけではない。多数決は議論を尽くしたうえでの政策決定をするためのものである。健全な民主主義は、少数意見を丁寧に吸い上げて、より国民が幸せになる政策を実行していくことにより、維持され国家の将来を繫栄させるために生み出された制度であると考えられる。

 

 そういった意味では、現在の自民党はもはや自浄能力を失った政党もどきに堕してしまったのではなかろうか。少なくとも政権を担う政党ではなくなっている。残念ながら野党もまたしかり、その自民党に直言して反省を促すような行動もとれないのが実情である。マスコミも政権に追従を述べるしか、能がなくなっている。このまま日本から民主主義は失われてゆくのか。国民はもっと怒るべきである。