ぐーたら親父の言いたい放題

日々の様々なニュースを取り上げて、独自の視点でコメントします。これからの社会の変化を予測し、どのように対処すべきか提案できればと考えています。

アメリカの分断は根が深い

 米国大統領選が終わった。1億6千万人が投票し、投票率は67%になったようだ。その結果、勝者バイデン氏の得票数は7540万票と史上最多を記録した。ただしトランプ氏も7090万票の得票を上げて、根強いトランプ支持者がいることを示す結果になった。バイデン氏の勝因は、前回2016年の大統領選挙で民主党が取れなかったラストベルト地帯ウイスコンシン州、ミシガン州ペンシルバニア州およびアリゾナ州で僅差ながらではあるが勝利したことである。。激戦州での勝利により、バイデン氏の獲得選挙人数は290人と過半数を超えて勝利宣言したわけであるが、懸念されるのはトランプ氏の敗北宣言がいまだ出されていないことである。

 

 トランプ氏がバイデン氏の当選を認めない状況がこのまま続けば、少なくとも120年前から行われてきた大統領選の敗者が敗北を認めることによって、勝者を明確にするという伝統がないがしろにされる。敗者が落選を受け入れることで、選挙戦に幕を閉じラグビーの試合におけるノーサイドのような瞬間が訪れる。それは米国の民主主義の健全性と選挙制度の正当性を示すものであり、そのことにより少なからず分断の修復が行われなければ、当面は政治の混乱が続く恐れがある。

 

 いずれにしろ、共和党トランプ大統領から民主党バイデン大統領への政権交代で政策は大きく変わるであろう。環境問題を重視するバイデン氏は、パリ協定復帰を宣言するだろうし、コロナ対策のためにWHOにとどまることにもなるだろう。しかしバイデン氏の思惑とは別に、予算案や法案提出権を持つ上院を共和党が握る公算が大きくなったこともあり、民主党バイデン大統領が、掲げた公約通りの政策を実行できるかどうかは不透明である。しかし、この4年間国際社会を混乱させてきたトランプ流の米国第一主義が影を潜めることにより、国際協調を主要にした路線に回帰する可能性がでてきたことは、国際社会にとって歓迎されるべきことではなかろうか。