ぐーたら親父の言いたい放題

日々の様々なニュースを取り上げて、独自の視点でコメントします。これからの社会の変化を予測し、どのように対処すべきか提案できればと考えています。

コロナ禍は、経済格差を広げる

コロナ禍の下。日本企業の役員報酬は株高もあり報酬1億円以上の役員は増えた一方で、従業員給与は落ち込んでおり、欧米の主要国に比べ低水準で推移している。結局コロナ禍は、各国政府を含め日本も異次元の金融緩和政策を推し進めているが、その恩恵を受けているのはもっぱら資産を持つ富裕層だけである。一方で資産を持たない賃金労働者にとっては、とりわけ非正規の労働者にとっては厳しい冬の時代の洗礼を浴びる結果となっている。

 

厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、パートなどを含めた労働者一人当たりの月間の現金給与総額は約31万8千円と昨年より1,8%減った。業種別では飲食サービス業5.9%減、製造業3.4%減などの下落が目立ち、産業全体でみると残業代などの所定外給与が1割強減少、時短営業や工場の操業調整などの影響が表れているとみられる。また最低賃金の引上げに対する姿勢を見ていても如実にわかることだが、日本企業の経営者の賃金引き上げに対する姿勢が消極的であるがゆえに、それが結局日本の生産性を押し下げ、その結果として賃金引き上げが遅々として進まない状況を生んでいることも否めない。

 

日本の労働者の収入は、長年伸び悩んできた。経済開発協力機構(OECD)によると、加盟35か国の平均賃金は00年~20年に約16%上がったが、日本は残念ながら平均以下の水準で、横ばいが続いた結果、順位的にも、00年の17位から22位まで落ちてしまった。日本の労働生産性が上がらないため、というか生産性を上げるための工夫がなされていないがゆえに、労働者の賃金を抑制することでしか、利益を確保できない産業構造になっている日本企業の実態が明確に示されている。

 

 資産保有者とそうでない人々の経済格差拡大は、何度も言うようだが経済にとってはマイナスにしか働かない。なぜなら最低限の消費支出しかできない貧困者を増やしていけば、消費は縮小するばかりであり、景気拡大には到底つながらない。景気拡大に貢献するのは、適度に消費を楽しむ可処分所得がそれなりにある中間層をどんどん増やすことである。

 

 そういう意味では、若年層を含め、可処分所得が増える施策をどんどん講ずることが景気回復につながる。