ぐーたら親父の言いたい放題

日々の様々なニュースを取り上げて、独自の視点でコメントします。これからの社会の変化を予測し、どのように対処すべきか提案できればと考えています。

今回の衆議院選挙は、国民が自立できるチャンスである

 衆議院選挙が始まった。衆議院選挙が始まる直前あたりから、日本国内の賃金が30年余り増えない事実が問題になってきた。思い返せばこの30年間で民主党政権の時代が3年余りあったものの、やはり政権を握っていたのは自民党政権であった。安倍晋三元首相は暗黒の民主党政権時代と揶揄することがしばしばあったが、何のことはない。この30年権力を握り続けてきた自民党政権が、日本国民にどのような恩恵をもたらしてくれたのか思い浮かべることはできるであろうか。30年かけて日本の賃金は、4.4%上昇した。この間米国は47%、イギリスも46%の賃金上昇を成し遂げた。つまり世界は徐々にではあるが、豊かさを享受してきたのである。

 

しかし日本は残念ながら、その世界経済の進展から置いてきぼりを食らってしまった。たとえば、コロナ禍が起きる前、海外からの観光客の増加で日本の観光業は活気があった。日本各地の観光地は、海外からの観光客でにぎわった。それは日本が海外の注目を浴びたが故のブームであったわけだが、日本の物価が安くなり、手の届く範囲になったがゆえに脚光を浴び始めていたのである。

 

2000年には世界1位を誇った日本の製造業の生産性が、2018年には16位にまで後退した。国際通貨基金IMF)の統計で名目国内総生産GDP)をみると、日本は米国、中国に次いで依然として世界3位ではあるが、この30年間で米国のGDPは3,5倍になり、中国は実に37倍になっている。その一方で日本は1.5倍にしかなっていない。世界4位のドイツのGDPでさえ2.3倍になっていることを考えれば、日本は諸外国に比べ成長のスピードが完全に鈍化してしまっている。だからこそではないが、日本の平均賃金は経済協力開発機構OECD)によると、2020年には加盟35か国中22位で、韓国にも2015年に抜かれてしまった。この日本経済の低迷の原因として、さまざまな理由が挙げられている。法人税減税や輸出振興のために円安誘導を行うなど企業に対する優遇措置があり、株価を引き上げるために富裕層が投資しやすい環境を整備した。逆に企業は人件費の削減によるコスト管理が進み、社会保険料も年々上昇して可処分所得が減少するなど、どちらかといえば中間層に対する恩恵がほとんどない政策が続いた。経済のテコ入れとして大幅な金融緩和が続いているが、その恩恵は残念ながら富裕層にしか恩恵は届かず、経済格差の拡大を招く結果になってしまっている。

 

それゆえの岸田文雄新首相の「分配」を重視した経済政策の実施という発言であったと思われたのだが、残念ながらすぐにその政策は消えてしまった。世界経済は、資本主義の行き詰まりから新しい局面を迎えようとしている。生産者重視から、消費者重視への大きな転換時期を迎えようとしている。生産と消費、需要と供給、これは絶妙のバランスが必要である。それを熟知したうえで、新たな経済体制に即応できる経済政策が必要とされている。その意味において、今回の衆議院選挙は主権者としての責任を果たすことが求められている。投票所に足を運ばなければ、選挙結果を悔いることになるかもしれない。新時代を夢のある社会にするためにも、今回は清き一票を生かすために行動しようではないか。たかが一票、されど一票。将来の日本の針路を決める参政権である。