ぐーたら親父の言いたい放題

日々の様々なニュースを取り上げて、独自の視点でコメントします。これからの社会の変化を予測し、どのように対処すべきか提案できればと考えています。

感染症にかかれば罰せられる?

 まずは緊急事態宣言の問題から、遅まきながらではあるが一言。事業者に対する営業時間の変更に対する要請に従わない場合、今後は命令違反として過料を科せられることがあるそうだ。また、感染者が入院勧告を拒否したり、入院先から逃亡した場合もまた過料を科せられることになった。交通事故を起こした場合も反則金として過料を科せられるが、行政の命令に従わない場合にも罰則がかけられることに違和感を感じる。さらには感染症になったから罰則を科せられることにも違和感を覚える。何も病気になりたくてなったわけではない。また、飲食店における感染が多いということから、飲食店の営業時間を制限するというのもどうであろうか。ましてや行政の命令に従わなければ犯罪を犯したように見なされる。これは常軌を逸しているように思われる。

 

 刑法において処罰の対象となるには、少なくとも作為の有無が問題になる。もちろん過失傷害といったように作為がなくとも重大な過失があれば、罰せられる規定もあるが、病気にかかったからといった理由で罰せられるというのは行き過ぎであろう。そして行政命令に反したからと言って処罰の対象とするのも、行政権の逸脱としか考えられない。世界中で、行政権がこのような形で強化されつつあることに、人々はなんとも感じないのであろうか。何度も繰り返すが、自分たちの権利を制約されていることに不満の声を挙げることがないのは残念である。

 森喜朗東京オリンピックパラリンピック組織委員会会長の辞任問題は、日本のジェンダー意識の遅れを国際社会に如実に示してしまった。その汚名を返上すべく橋本聖子氏に白羽の矢が立ったと思われる。冬季オリンピック4回出場、夏季オリンピック3回出場を誇り、オリンピックの申し子ともいうほど名前が知られている。また参議院議員の経験も長くそのうえ大臣経験も積んでいるため、国際的にも国内的にも納得させられるという判断かもしれない。 

 しかし知名度が高くしかも有能であればあるほど、今回の五輪組織委員会の会長という役回りは安易には受諾できる役職ではないように思われる。平時ならいざしらず、いつ終息するかも予測のつかないコロナ禍の騒動の真っ最中である。先行きが見えないまま推移すれば、遅くとも4月早々早ければ3月中にも中止の決断もやむを得ないものになる。開催を強行するにしても、最悪の場合無観客を想定しなければならないかもしれない。そのような決断を遅かれ早かれしなければならない時期が近づいている。そのような状況下での五輪組織委員会会長受諾は、どう考えても本人にとって理にかなったものではなかっただろうと推測される。めぐりあわせといえばそこまでだが、政界での本人のさらなる飛躍のチャンスとして訪れた運命となるのか、それとも幕引きのために引っ張り出されただけに終わるのか、ここは正念場になるであろう。

 残念ながら本人の意思が尊重されるというよりは、ましてや行政にとってというよりは。国民の利益になるかどうかで決断できるかどうかを迫られるであろう。どのような決断を下すにしろ、激しい反発を受けることになるのは間違い。橋本聖子氏の幸運を祈るばかりである。