ぐーたら親父の言いたい放題

日々の様々なニュースを取り上げて、独自の視点でコメントします。これからの社会の変化を予測し、どのように対処すべきか提案できればと考えています。

これは政権の暴挙である

 菅義偉首相が早速やらかしてくれた。安倍晋三前首相時より、独善的な政策が目立ち始めていたが、これまで日本学術会議が推薦してきた新会員は全員任命されていた。それが今回、理由を説明することなく6人の候補者を除外してしまった。任命されなかったのは、宇野重規東大教授(政治思想史)、芦名定道京都大学教授(宗教学)、岡田正則早稲田大学教授(行政法学)、小沢洋一東京慈恵医科大学教授(憲法学)、加藤陽子東大教授(日本近代史)、松宮孝明立命館大学教授(刑事法学)の6名である。

 

 推薦候補者を任命しなかったのは今回が初めてで、安全保障法制や「共謀罪」法に反対の立場をとってきた人が含まれており、官僚と同等レベルのスタンスで任命を拒否した感が強い。これでは学問の自由が侵害される恐れが出てくるだけではなく、学術会議が負っている任務に就いて首相官邸が安易にとらえている点が大問題である。

 

 加藤勝信官房長官が会見で「学術会議の人事を通じて一定の監督権を行使することは法律上可能。」と発言したことが、この問題を軽視していることを如実に物語っている。どこまでも政権を掌握している権力者が独裁権力を振り回すことができるように、隙あらば強権を振るうようになっていることが問題である。それ以上に、その権力をふるうことが、さも正義であるかのように暴走し始めていることが、ものすごく危険である。

 

 米国においても、トランプ大統領アメリ最高裁判所の判事を早く決めたがっていることが問題になっているが、これは大げさではなく三権分立が脅かされる問題であり、行政権だけが肥大化すれば政治は不安定化せざるをえない。様々な異論を取り入れることで、より柔軟で安定した政治が可能となるのに、米国の政治だけでなく日本の政治もまた残念ながらその方向にはない。

 

 近年、政治の世界において、誤った方向に進まないようにするための装置はどんどん無力化し、権力の集中化が進む傾向にある。中国本土の香港政策しかり、異論を排除する体質は、結局独裁化を推し進め、権力者を「裸の王様」に貶める。そういう理屈を受け入れられない、理解できないがゆえに、拒否することにより政権の弱さになって表れる。菅義偉の今後の言動を絶え間なく注視する必要がありそうである。