ぐーたら親父の言いたい放題

日々の様々なニュースを取り上げて、独自の視点でコメントします。これからの社会の変化を予測し、どのように対処すべきか提案できればと考えています。

緊急事態法案の審議に物申す

 緊急事態基本法は、国家の独立と安全における危機や国民の生命や財産が脅かされる重大で切迫した事態に対応するために、国として迅速かつ適切に対処するための法律である。これまで何度も審議されかけたが、成立していない。それは、内閣総理大臣の権限を最大2年間という期間制限はあっても、内閣総理大臣に独裁的な権限を結果的には付与することになりかねないからである。国家あっての国民なのか、国民あっての国家なのか、そこは十分な議論を重ねなければならないであろう。

 

 以下は、ウイキペディアに記載されている緊急事態基本法案の骨子である。そして日本国憲法の趣旨に沿って法律として成立するためには、1.緊急事態の明確な定義(たとえば、我が国に対する外国からの武力攻撃、テロリストによる大規模な攻撃、大規模な自然災害等の国及び国民の安全に対する重大な影響を及ぼす緊急事態であること)を厳密に議論しておかなければならない。また、2.日本国憲法で保障された基本的人権の尊重の制約は最大限に尊重されなければならないとしつつ、制約することを余儀なくされた場合も必要最小限にとどめるべきであるとしている。さらには、3緊急事態における国の責務としては、日本の平和および安全の確保並びに国民の生命、身体及び財産の保護について万全の措置を講じる責務を有するとしている。地方公共団体は緊急事態に際して、他の地方公共団体その他の公共機関と相互に協力するとともに、緊急事態に対処する責務を有することとする。その際4.国会は、緊急事態への対処における有事法制に定める国の権限を発動するに際しては、その開始と終了において適切に関与することを必要とする。そして、5.政府が緊急事態に迅速かつ的確に対処するために、内閣総理大臣の判断を適切かつ機動的に行うとともに予防措置の効果的な実施大勢を担保するとしている。

 

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、安部首相は全国の小学校・中学校・高等学校・支援学校などに3月24日までの休校を要請した。あたかもそれの事後承諾を迫るかのように、緊急事態法案の審議を国会に提案している。この休校要請は、政府内において十分議論されずに出てきた政策であるため国会の質疑応答で論理性を欠く答弁があったことは記憶に新しいところである。なんとも泥縄式の対応が続いている。的確で迅速な決定は、ともすれば拙速でその場しのぎの対応になりかねない。その影響が小さければよいが、基本的人権を侵害した挙句、最大多数の最大幸福を守れないとなればどうするのであろうか。一時的とはいえ、独裁権を容認するリスクは計り知れないものがある。唐突に通常国会で審議する意味がどれだけあるのだろうか。疑問を感じざるを得ない。また財政状況を踏まえながらも、将来的に国民がある程度安心できる社会保障制度の確立のための審議のほうが大切ではなかろうか。これもまた拙速であってはならないからこそ、早急にとりかかるべきことであろう。国会は国民が安心して生活するための、そしてより豊かな生活を享受するための制度作りを基本的にはになっているはずである。そのことを忘れないでもらいたいものである。