ぐーたら親父の言いたい放題

日々の様々なニュースを取り上げて、独自の視点でコメントします。これからの社会の変化を予測し、どのように対処すべきか提案できればと考えています。

「子どもたちの安全」を錦の御旗にすることの欺瞞

 3月2日からの全国一斉の小中高および支援学校の休校要請(あくまで要請であり、各自治体に最終判断は任せるという含みであり、わずかながら政府の責任逃れの余地にもなる)に、各自治体の教育委員会や、学校関係者にとってはとてつもない混乱をもたらした。子どもたちの安全を声高に主張しながら、休園を要請されなかった保育園児の安全は本当に保たれるのか、といった素朴な疑問に答えられない国会の質疑応答を聞いていると、およそ論理的には筋が通らない、納得のいかない答弁ばかりが耳に残ってしまう。

 

 子どもたちは、家から極力出ないので、新型コロナウイルスの感染は低くなるという意味では安全を確保したことになるかもしれないが、突然休みとなってしまった子どもたちの毎日の世話ができる保護者がどれだけいるのか。保護者のいない家庭よりも、少なくとも学校のほうが大人の目が届く可能性は高い。その意味においては子どもの安全は守られているとは言えない。さらには、たった一か月とはいえ、年度末のこの時期、当該目標の学習をやり終えている場合がどれだけあるのだろうか。これからの休み期間で、学習できる機会が持てる子どもたちはどれだけいるだろうか。日本の教育事情のお粗末さだけでなく、国民の教育に対する関心の低さも気にかかるところである。

 

 安倍さんは、今回の突然の休校要請により、起こりうる様々な問題については政府が責任をもって対応する、と述べた。それは、単に学校が休みになったために仕事を休まざるを得なかった国民の賃金保障だけでは済まないはずである。そこだけがクローズアップされているが、ほかにもさまざまな問題を抱えることになってしまうであろう。たとえば、パンや牛乳など給食用の食材を納入している業者は、3月に予定されていた売り上げのほとんどが無くなってしまうのである。その業者たちに対する補償はあるのであろうか。場当たり主義は、こういったところに弊害をうむのである。政府は国民の信頼を受けるためには、全力で責任を全うしなければならない。