ぐーたら親父の言いたい放題

日々の様々なニュースを取り上げて、独自の視点でコメントします。これからの社会の変化を予測し、どのように対処すべきか提案できればと考えています。

ゴーン元日産自動車会長の不正出国

 日本の司法制度に対する不満は大いにあったのだろう。妻との接見禁止や出国禁止などの制約を受け入れて認められた保釈を、ゴーン氏は見事に利用してレバノンに逃亡してしまった。日本の司法制度に対する不満は我々でも理解できるが、自身の旅券を弁護士が管理され、住居の玄関に設置された監視カメラで出入りを常時チェックされ、携帯電話の通話履歴を裁判所に提出することまで義務付けられるといった束縛に到底我慢できなかったのであろう。

 しかし、われわれ庶民にとっては、レバノン、ブラジル、フランスなどから発行された4通の旅券を所持し、結構な助力者を使って、日本を出国しトルコを経由して、いまやレバノン政府の特別の庇護を受ける状況にある。これに対して、自由を求めた勇敢な行動だという一方で、富裕資産家だからこそ政府によって守られる、といった非難もレバノン国民からあがることもありうると予測されている。おそらくレバノン政府はゴーンの日本送還を全く考えていないし、日本国内でのゴーンに関係する特別背任事件の裁判も真相解明は中断せざるを得ないであろう。

 そして、このような資産家だからこそ可能である事態は、社会の分断を助長することにつながってもいる。今回の保釈金15億円は没収というが、それを政府に取り上げられてもいたくも痒くもないというのが、ゴーンの立場である。ちなみに世界の富裕資産家上位26人の資産は150兆ドルであるという。その額は、世界の人類下位38億人分の資産と等価である。これは一体何を意味しているのだろうか。所詮、自分たちには全く関係のない話でしかないのだろうか。

 米中貿易戦争も、英国のEU離脱も、トランプ大統領の奇怪な迷走する政策も、AIの進化も、これからの時代を左右するであろう課題を示唆している。グレタ・ツェンベリさんの地球温暖化に対する強化を願った運動も、そうである。私たち一人ひとりが自分自身はどう考えるのか、そこを突き詰めていかないといけないのではないだろうか。私は、経済格差の是正と雇用の喪失に対して、有効な手立てを早急に考えていかなければならないと訴えたいのだが、その手立ての一つはベーシック・インカムの導入であると考えている。