ぐーたら親父の言いたい放題

日々の様々なニュースを取り上げて、独自の視点でコメントします。これからの社会の変化を予測し、どのように対処すべきか提案できればと考えています。

これから食える職業は?

 子どもや孫がいる人にとっては、将来どのような仕事で生計を立てていくのかは切実な問題である。残念ながら、平成年間は失われた30年といわれ、可処分所得があまり増えなかった時代である。しかも社会保険料の負担は増えるばかりであった。そして、これからの時代を考えれば、AIやロボットの導入が進み、雇用が失われる時代になりそうである。いや産業革命が起こった時も、混乱を重ねた過渡期を過ぎると、新しい雇用がどんどん誕生して、次々生まれた企業が規模を大きくし、労働者の所得もどんどん増えた時代があったではないかと言われる人もいるかもしれない。

 けれども、21世紀も20年が過ぎ、資本主義はグローバル化を推し進めてきたものの、それはほんの一握りの富裕な資産家をますます豊かにしただけで、貧困層が少なくなったわけではない。それどころか中流階級から貧困層に落ち込む人々がどんどん増えているのである。つい先日ダボス会議でも報告されたが、世界有数の大富豪2000人あまりの資産合計が、世界で最貧困層から50憶人の資産合計と等しいという調査結果であった。失業率が下がり、比較的堅調な経済状況と報告されている米国においても、ホームレスが増加しており、米国内の経済格差はどんどん広がっている。日本でもまたしかり、アンダークラスと呼ばれる年間所得が200万円を下回る貧困層が1000万人近くいる。

 こんな状況の中で、これから食える職業はと聞かれれば、食べるだけなら農業や漁業など食料生産に関わるのが良いのではと答えたくなる。肉体を酷使して、自然の厳しさの中で労働をするイメージがあるけれども、今やどのような職業でも、ノルマに追われることは当然であり、マニュアル的な仕事も顧客対応もそつなくこなせなければ、すぐに職場から放逐される可能性がある。また、スタッフとの人間関係が良好でなければ、その職場になじめないということも起こりうる。産業革命以後、発展してきた商工業とはかけ離れ所得が低かった第一次産業とは異なり、安定した収入が確保できていた職場がいまやどんどん消失している。年功序列や終身雇用といった、労働者にやさしかった日本の雇用環境が、グローバル化の影響で失われつつあるのが現代である。

 正直な話、利益を生み出せない労働者は低賃金に甘んじなければならない時代に突入しているのである。最低限の時給で長時間働いてようやく人並みの収入を手にできるのである。自然環境に左右されるものの、自分のペースで労働し、収穫が可能になる農業という職業の選択はこれから人間が毎日口にするべき食料生産に携わるという意味でありうるのではないだろうか。もちろん現在農地を所有していて、明日からでも農業ができますという人はいないかもしれない。けれども、少し調べてみると大都市近郊でも耕作放棄地があり、農業従事者としてその地域で認められれば、そんなに経費をかけずに自分で耕すこともでき収穫物を手にすることができる。そんな甲斐性がなければ雇用労働者として自然環境の中で労働することもできるのである。

 ただし、現在農業でそれなりの収入を上げている人は、口をそろえて「農業は土を知ることであり、忍耐力がないとできない仕事である」とアドバイスが入る。しかし、それはどんな仕事でもあてはまる。仕事に慣れるまでは何事も勉強、謙虚に学ぶ姿勢と根気がなければできるものではない。やる気がないと務まらないのである。