ぐーたら親父の言いたい放題

日々の様々なニュースを取り上げて、独自の視点でコメントします。これからの社会の変化を予測し、どのように対処すべきか提案できればと考えています。

英国のEU離脱確定だが・・・

 英国の総選挙の結果が出た。保守党364議席(+66)、労働党203議席(-40)、スコットランド民族党48議席(+13)、自由民主党11議席(-9)、その他23議席となり、保守党が過半数を確保、しかも党内に存在する過激な離脱派30名のコントロールの利かない議員を除外しても、ジョンソン首相を支持する議員だけで過半数を確保するという、ジョンソン首相にとっての大勝利となった。そしてそれは、EUにとっても先行きの見えない英国の離脱問題にようやく決着をつけられる安ど感をもたらしたといえる。

 

 英国のEU離脱は、1月に離脱協定の合意案が英国議会で可決され、正式に離脱が決まり、来年末までにEUとの自由貿易協定が結ばれることになる。また米国も自由貿易協定締結を目指すことになる。これでめでたく一件落着となるが、実はこれからのほうが厄介ではなかろうか。自由貿易協定に関しては、なんとか妥協点を見出すことになるのであろうが、英国内では根幹の総選挙でもスコットランド民族党議席を増やしたことに象徴されるようにEU残留を望む人々も多い。それらの人々の不満をできるだけ噴出しないような政策が実施されれば問題は大きくならないかもしれないが、そしてまた離脱を望まない人々が離脱後の英国の国内状況に満足できなければ、たぶんそうなるであろうが、自国第一主義の嵐がもっと吹き荒れることにもなる。

 

 実際グローバル化の行き詰まりで、難民排斥、移民流入制限など、EU各国で国民の不満が続出していたのであり、極右勢力の進出を許してきた経緯がある。EU成立、そして拡大は、それぞれの国の利害関係を調整し、二度と戦争の惨禍を起こさないように、ドイツやフランスを中心に将来的にはヨーロッパの政治統合を目指して進められたはずである。それが経済発展を続けているときには順調に推移していたものの、いったん齟齬が出始めると様々な形で矛盾が露呈し、不満があちらこちらから出てきて、不協和音を奏でるようになったのである。二度の世界大戦の悪夢があるからこそ、歯止めはあるのだが、英国のEU離脱問題は、この状況を次のステージに移行させただけで終わるかもしれない。つまり経済的な不安定要因の解消に向けて、ようやく本格的な交渉が始まる出発点にようやくたつのである。